平成 17 年 2 月 27 日、愛知県眼科医会の主催により、日本で初めての「目の無料検診」が県内 200 余りの眼科医療機関で行われました。今回の検診は 2000 年に実施されました多治見緑内障スタディの結果を受けて企画されたものです。多治見スタディでは、 40 歳以上の 17 人に 1 人の割合で緑内障の人がいることがわかり、そのうちの約 9 割は自覚症状もなく眼科に通院もしていない方でした。現在、緑内障には有効な治療法がなく、早期に発見して病状の進行を予防するのが何よりも大切です。
検診当日は新聞紙上の広告により大変たくさんの方が当院へ検診におみえになりました。10 時からの開始予定でしたが、早くから検診希望の方がおみえになりましたので、9 時半から検診を開始いたしました。しかし、受付終了の午後 1 時までの間、検診希望の方が次々にお越しになられましたため、検診のスピードが追い付かず最大で 2 時間弱の待ち時間となってしまいました。受診者総数 156 名と予想をはるかに超える方が受診されたとはいえ、待ち時間が長くなってしまい申し訳ありませんでした。
今回の検診で行いました検査は、非接触式眼圧測定、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査のみでした。そのため視力がわからず正確な診断は難しい面もありましたが、156 名の受診された方の中で 40 名の方に何らかの異常を認めました。その内訳は以下のようになりました。(重複あり)
緑内障疑い
25名
(うち高眼圧9名、視神経乳頭陥凹拡大16名)
ドライアイ
5名
飛蚊症
2名
睫毛乱生(さかまつげ)
4名
白内障
3名
アレルギー性結膜炎
1名
結膜結石
1名
角膜変性症
1名
なんと約 6 名に一人の方が緑内障の疑いがあることがわかりました。特に緑内障の疑いが強い視神経乳頭陥凹拡大に限ってみても、約 10 人に一人という高い割合で異常が検出されました。
検診で緑内障疑いと判定された方の中で、現在までに 11 名の方が当院で精密検査を受けられました。その結果、緑内障として治療が必要であった方が 2 名、確定診断は得られなかったが経過観察が必要であった方が 5 名おみえになりました。
たくさんの受診者の方がおみえになり、私をはじめスタッフ一同くたくたになりましたが、普段の診療と違ってより地域への貢献ができたような気がして充実した一日でした。今後もいろいろな方法を模索しながら、当院の理念であります「プライマリーアイケアを実践」しつつ「地域への貢献」を目指していきたいと思っています。
2005年5月1日掲載
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