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先日40代のかたが「目が疲れる」と受診されました。ドライアイと老眼による眼精疲労と思われましたが、眼底検査で両眼網膜神経線維層の非薄化(NFLD:nerve fiber layer defect)を認めました(図1)。またOCT検査でも両眼NFLDが確認され(図3)、視野検査では両眼とも鼻上側視野に感度低下がありました(図4)。以上から両眼緑内障と診断し治療を開始しました。 |
このかたは5年前にも受診されており、その際は右眼に若干の視神経乳頭陥凹拡大を認めましたが、NFLDは認められませんでした(図2)。近視度数が-6D程度とやや強い近視でしたが、眼圧は両眼とも14mmHgと正常で、喫煙歴はなく、ご両親に緑内障の既往はありませんでした。 |
緑内障は視野が障害されて、視野が欠けていく病気です。一度視野が欠けると基本的には元に戻らないため、手遅れになる前に治療を行い、進行を抑えることが大切です。しかし、緑内障初期は自覚症状がほとんどなく、日本人に多い正常眼圧緑内障では眼圧も正常範囲内ですので、眼底検査をしないと緑内障を見つけるのは困難です。 |
上述のかたもこの5年の間に緑内障を発症したことになりますが、ご本人に視力障害や視野異常などの自覚はありませんでした。今回疲れ目で受診しなければさらに進行するまで気付かなかったと思われます。40〜50歳代は緑内障、老眼、飛蚊症などの眼科疾患が発症しやすい年代です。また、60歳以降は白内障、黄斑変性症などのリスクが高くなります。 |
一度検査をして異常がなければ大丈夫という訳ではありません。40歳を過ぎたら、3年に一度程度(可能なら毎年)の眼科検診をお勧めいたします。 |
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図1 |
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図1A:2021年右眼眼底写真 |
図1B:2021年左眼眼底写真 |
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2021年眼底写真:両眼とも視神経乳頭から外下方に向けてNFLD(never fiber layer defect)が扇状に広がっている。周りの網膜に比べてやや暗い部分がNFLD。 |
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図2 |
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図2A:2016年右眼眼底写真 |
図2B:2016年左眼眼底写真 |
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2016年眼底写真:右眼に若干の視神経乳頭陥凹拡大を認めるが、NFLDは認められない。 |
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図3 |
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図3A:2021年右眼OCT検査 |
図3B:2021年左眼OCT検査 |
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OCT検査:赤色にマッピングされている部分がNFLD |
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図4 |
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図4A:2021年右眼視野検査 |
図4B:2021年左眼視野検査 |
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