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ムコスタ点眼液のご紹介

 今回はムコスタ点眼液についてご紹介させていただきたいと思います。ムコスタ点眼液(一般名レバミピド点眼薬)は2011年に大塚製薬から発売された比較的新しいドライアイ治療用の点眼液です。以前NHKの「ためしてガッテン」という番組でも紹介されたのでご存知のかたも多いと思います。もともとムコスタ錠という胃粘膜修復作用に定評のある胃薬から作られた点眼薬です。
 ムコスタ点眼液のは結膜(まぶたの裏や白目を覆っている粘膜)の杯細胞を増やして、そこから分泌されるムチンを増加させる作用があります。ムチンとは水分を多く含んだ粘液様物質でジュンサイやモロヘイヤのネバネバをイメージしていただければ理解しやすいと思います。ムチンが増えると目の表面の保水性が高まりドライアイの改善につながります。
 またドライアイには眼表面の炎症が深く関与しているといわれていますが、ムコスタ点眼液には炎症を抑える働きがあります。炎症があると涙液の分泌をコントロールするレセプターの感度が下がってドライアイになりやすくなるそうです。これまでのドライアイ用点眼薬には炎症を抑える作用がないので低濃度ステロイド点眼薬を併用することもあります。ムコスタ点眼液は抗炎症作用も併せ持っていてより効果的にドライアイを治療することが可能になります。
 ただムコスタ点眼液には欠点があります。まず第一に苦いこと。点眼すると鼻涙管を通ってのどに到達します。ムコスタ点眼液の苦味はかなり強烈で、ひとにもよりますが、ひどい場合には一日中のどに苦味を感じるかたもみえます。第二に点眼液が白濁していること。点眼すると5分程度視野が白くかすんでしまいます。第三に点眼容器が一回使い切りタイプで小さく扱いにくいこと。高齢者の方はうまく点眼できないというご意見をしばしば伺います(図1)
ムコスタ点眼液
【図1】
 さて、実際にはどの程度のかたに効果があるのでしょうか。2014年12月から2015年2月に当院でムコスタ点眼液をはじめて処方させていただいた51名のかたを対象に検討してみました。
 51名の対象者のうち再診して評価ができたかたは33名(男性13名、女性20名)でした。そのうちムコスタ点眼液によって調子がよく再診時に処方を継続できたかたは20名(男性11名、女性9名)でした。一方、再診時に何らかの理由により処方を継続できなかったかたは13名(男性2名、女性11名)で、処方を継続できたかたの割合は61%でした。特に男性では女性よりも処方を継続できた割合が高くなりました(Fisher's exact test p<0.05)(図2)
図2:ムコスタ投与継続群と中止群の比較
 処方を継続できなかった理由は、無効:5名、苦味:2名、眼瞼への薬剤沈着:1名、目のかすみ:1名、目の周りのかぶれ:1名、胃が気持ち悪い:1名、痰が増える:1名でした。 一方、ムコスタ点眼液によりドライアイの自覚的症状は、軽度改善27%、改善39%で、合わせると2/3のかたで症状の改善がみられました(図3)
図3:ムコスタ点眼液による自覚的症状の変化
 ムコスタ点眼液は点眼すると目がかすみ、のどに苦味を感じるといったすこし癖のある点眼液です。ただ、その効果は高く、特に目の痛みやゴロゴロ感が強いドライアイのかたにはお勧めです。また一回使い切りの点眼液で防腐剤も入っていませんので、コンタクトレンズの上からも点眼できます。これまでのドライアイ治療用点眼薬では効果があまりなかったかたは一度試す価値のある点眼薬と思います。
2015年5月1日掲載 
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