今回はムコスタ点眼液についてご紹介させていただきたいと思います。ムコスタ点眼液(一般名レバミピド点眼薬)は2011年に大塚製薬から発売された比較的新しいドライアイ治療用の点眼液です。以前NHKの「ためしてガッテン」という番組でも紹介されたのでご存知のかたも多いと思います。もともとムコスタ錠という胃粘膜修復作用に定評のある胃薬から作られた点眼薬です。 |
ムコスタ点眼液のは結膜(まぶたの裏や白目を覆っている粘膜)の杯細胞を増やして、そこから分泌されるムチンを増加させる作用があります。ムチンとは水分を多く含んだ粘液様物質でジュンサイやモロヘイヤのネバネバをイメージしていただければ理解しやすいと思います。ムチンが増えると目の表面の保水性が高まりドライアイの改善につながります。 |
またドライアイには眼表面の炎症が深く関与しているといわれていますが、ムコスタ点眼液には炎症を抑える働きがあります。炎症があると涙液の分泌をコントロールするレセプターの感度が下がってドライアイになりやすくなるそうです。これまでのドライアイ用点眼薬には炎症を抑える作用がないので低濃度ステロイド点眼薬を併用することもあります。ムコスタ点眼液は抗炎症作用も併せ持っていてより効果的にドライアイを治療することが可能になります。
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ただムコスタ点眼液には欠点があります。まず第一に苦いこと。点眼すると鼻涙管を通ってのどに到達します。ムコスタ点眼液の苦味はかなり強烈で、ひとにもよりますが、ひどい場合には一日中のどに苦味を感じるかたもみえます。第二に点眼液が白濁していること。点眼すると5分程度視野が白くかすんでしまいます。第三に点眼容器が一回使い切りタイプで小さく扱いにくいこと。高齢者の方はうまく点眼できないというご意見をしばしば伺います(図1)。 |