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孤立性脈絡膜陥凹(Focal choroidal excavation)とは

 先日、40歳代の男性の方が「健診で黄斑変性症の疑いと言われました」と受診されました。視力は良く、自覚症状も全くありませんでしたが、眼底検査をしてみると確かに右眼の黄斑部の色調が左眼に比べると淡くなっていました(図1)。そこで網膜の断面を調べることができるOCTで検査をしてみると、黄斑部の網膜が構造はほぼ保たれたまま奥(脈絡膜側)へ凹んでいるのが判明しました(図2)
写真をクリックすると、別ウインドウで拡大写真が表示されます。
右眼眼底写真 左眼眼底写真
【図1A】右眼眼底写真 【図1B】左眼眼底写真
右眼OCT画像 左眼OCT画像
【図2A】右眼OCT画像 【図2B】左眼OCT画像
 初めて見る異常でしたので、そのときはお答えできなかったのですが、調べてみると孤立性脈絡膜陥凹(Focal choroidal excavation:FCE)という疾患であることが分かりました。
 日本の眼科2015年3月号の若林先生の解説(*)によると、FCEは2006年に初めて報告された疾患で、黄斑部における局所的な脈絡膜の陥凹であり、アジアからの報告が多く、年齢は45〜55歳、-3〜-5D程度の近視眼に多い傾向がある。8〜24%で両眼に存在し、片眼に複数存在する場合もある。また、加齢性黄斑変性症や中心性網脈絡膜症に合併することも少なくない。またFCEには視細胞先端と網膜色素上皮層の間が分離しているタイプと分離していないタイプがあり、分離しているタイプでは物が歪んで見えたりかすんで見えたりする場合が多いということでした。現在のところFCEの原因は不明であり、その後の経過もはっきり分かっていないようです。
 この男性の場合、視細胞先端が分離していないタイプであったため、自覚症状が全く無かったものと思われます。開業していると新しい疾患に出会うことは少ないのですが、今回改めて眼科診療の進歩を実感するとともに、日々研鑽して新しい知識を得ていく必要があることを再認識させていただきました。
* 若林美宏「Focal choroidal excavation とは」 日本の眼科:86(3)304-305,2015
2015年9月1日掲載 
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