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加齢黄斑変性症の遺伝子検査を受けてみました

 ヒトなどの生物のからだは遺伝子の情報を基に作られています。遺伝子はDNAのなかに書き込まれており、DNAはヌクレオチドと呼ばれる物質が鎖のように長くつながり、2本の鎖がらせん状につながっています(2重らせん構造)。
ヌクレオチドは、塩基と糖が結合したヌクレオシドという物質がリン酸によって連結されたもので、その塩基には、アデシン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類があります。この塩基配列がメッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、このmRNA上にならんだ塩基が3個一組となってアミノ酸を作る情報となり、アミノ酸からタンパク質ができていきます。生物のからだはこのタンパク質をもとに作られていきます。
イラストはイメージで、実際とは異なります。
 人の染色体には約30億もの塩基対があるといわれていますが、その配列は各個人で少しずつ異なっています。塩基配列のなかで一つの塩基が変異した状態を一塩基多型(SNP)と呼び、1000塩基にひとつ程度の割合で存在しているとされています。このSNPの違いが各個人の違いや個性となって発現しているのです。遺伝子検査によってこのSNPを調べると、各個人の体質や特定の疾患への罹りやすさを知ることができます。
 たとえば、アルコールの感受性は、主にアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子(ALDH2)のSNPに依存することが知られています。眼科分野でも遺伝子のSNPに関する研究はずいぶんと活発で、2005年には加齢黄斑変性症に関し、補体H因子遺伝子(CHF)多型およびセリンプロテアーゼARMS2(LOC387715)/HTRA1遺伝子の多型が疾患感受性遺伝子として報告されました。
 このような遺伝子検査は研究だけでなく、一般の人を対象とした商業分野へも拡大してきています。今回、一度に68個の遺伝子を検査することができるジェネシスヘルスケア社の『GeneLife2012』という遺伝子検査キットを購入して試してみました。自分の唾液を採取して送ると3週間程度で結果が送られてきます。身体的特徴に関するものとしては、髪の太さとカール、目(虹彩)の色、身長、アルコール感受性など。疾患への罹りやすさに関するものとしては、アレルギー、リウマチ、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞などの関連遺伝子が検査対象となります。そのなかに加齢黄斑変性症に関するARMS2とCHFも含まれています。
 気になる結果ですが、ARMS2は塩基コードがCCでリスクは低く、CHFは塩基コードがAGでややリスクが高く、総合判定では将来加齢黄斑変性症を発症するリスクは3.5倍と判定されました。
 自分としては少しショッキングな値でしたが、その他の結果を見てみると、髪の質は遺伝子検査では「太い」「カール」となっていましたが、実際にはやや細めで直毛ですので、遺伝子検査もまだまだ発展途上であることを感じました。面白いところでは危険回避遺伝子とか記憶力遺伝子という項目もあり、それぞれの結果を一喜一憂しながら確認しました。
 遺伝子の分野はどんどん研究が進んで、毎年新しい情報が加わっていくものと思われます。ご自身の遺伝子的特徴についてご興味があれば、一度検査を受けてみられてもよいと思います。
2013年6月1日掲載 
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