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生徒のみなさんからの質問にお答えします。

 毎年1〜2月に学校医(眼科)を務めている小中学校で学校保健委員会があります。そこで児童生徒のみなさんの健康状況や保健活動状況の報告を受けて、適宜コメントさせていただいております。
ただ、今年はコロナ禍のため、学校保健委員会の開催ができず、各校書面上での検討となりました。ある中学校さんでは学校医に対する質問アンケートが実施され、これまでにはなかった取り組みで、とても意義あることと感じ入りました。
 今回は、その中からみなさんにも身近な質問をピックアップしてお届けします。
1)いちばん目が悪くなるものは何ですか?
 「目が悪くなる」という言葉には2通りの意味があると思います。「目の病気になる」と「視力が悪くなる(近視が進む)」です。
 「目の病気になる」については、いろいろな要因がありますが、中学生に限定すると、コンタクトレンズ障害、結膜炎、アレルギー性結膜炎などが多い疾患となります。
 コンタクトレンズ障害とは、コンタクトレンズの不適切な装用が原因となり角膜炎などになることです。コンタクトレンズを着けたまま寝てしまったり、一日12時間以上装用したり、きちんと決められた消毒方法を守れなかったり、汚い手で扱ったりという行為が原因となります。コンタクトレンズを眼科医の診察なくディスカウント店で購入することは絶対にしないようにしましょう。

 結膜炎は「しろめ」が充血し目ヤニがでる病気です。これは感染症ですので、やはり汚い手で目をこすったり触ったりするとなりやすくなります。新型コロナウィルスも目からも感染する可能性があるともいわれており、こまめな手洗いや手指消毒が有効だと思います。
 「視力が悪くなる(近視が進む)」については、近視は遺伝要素と環境要素に影響を受けます。遺伝要因を変えることはできませんが、環境要因に関しては「近くを見続ける」ことが最大のリスクファクターと思われます。スマホやタブレットに限らず、読書や勉強など手元を見続けないようにすることが大切です。ゲームをする時には手元のデバイスではなく、画像をTVに映してプレイするのがお勧めです。
 屋外で過ごす時間が多いほど近視になりにくいという研究もあります。台湾では一日2時間以上屋外で過ごすようにしたところ、子どもの近視の進行が抑えられたと報告されています。授業の合間の放課時間などを活用して意識的に屋外で過ごすことがおすすめです。その場合は紫外線対策や熱中症対策にも気をつけましょう。
 アメリカでは、20分間継続して近くを見たあとは、20フィート(およそ6メートル)以上離れたものを、最低20秒間眺めるという「20-20-20のルール」が推奨されています。これは近視の進行予防だけではなく、大人の疲れ目対策にもお勧めです。

2)視力を回復させる方法を教えて下さい。
3)視力を回復させるために普段からできるトレーニング等はありますか。
4)ゲームやスマホの時間を減らしたら目への負担は減ると思いますが、視力回復につながりますか。

 残念ながら視力を回復させる有効な方法は確立されていません。ただ、まだ初期の近視であれば一時的な調節緊張の場合もありますので、前の質問の回答の中でお示ししました「20-20-20のルール」や目をホットタオル(40度前後のやけどをしない温度にしてください)で目を温めるのも緊張緩和に効果があります。ただ視力が悪くなるのは他の疾患の場合もありますので、視力の低下を感じたら早めに眼科を受診されることをお勧めします。

5)目を疲れさせないようにするためには、パソコンやゲームは何時間までにしたらよいですか。
 パソコンやゲームの時間を何時間までに制限するべきかについて、まだ明確な基準は出されていません。個人的な考えでは、オンライン学習やタブレット学習の時間を含めてご家庭では平日1日2時間以内、休日は1日4時間以内をお勧めしています。
 アメリカ眼科医会では、「子供とスクリーンのための目の快適さと安全のヒント」として以下の10項目を示しています(https://www.aao.org/eye-health/tips-prevention/
screen-use-kids
)(一部意訳があります)
「20-20-20のルール」に従います。20分ごとに、少なくとも20フィート離れた場所を20秒間見ましょう。
タイマーを設定して、見ている距離と時間を確認しましょう。
本物の本と電子書籍を交互に読んだり、1章おきに窓の外を見たり、外に出るようにしましょう。
ビデオゲームで一つのステージをクリアした後、20秒間画面から目を離しましょう。
数章ごとにペーパークリップで本に印を付けて、遠くを見るようにしましょう。電子書籍では、同じ効果を得るために「ブックマーク」機能を使用しましょう。
画面のまぶしさが目の緊張を引き起こす可能性があります。晴れた日の屋外や明る過ぎる場所で画面を見るのは避けましょう。
画面の明るさとコントラストを調整して、快適に見えるにしましょう。
画面を使用するときは、正しい姿勢をとってください。姿勢が悪いと、目の疲れに伴う筋肉の緊張や・頭痛の原因となる可能性があります。
スマホ、タブレット、ゲーム画面はできるだけ遠くに離して持ちましょう。45センチ以上が理想的です。
画面を見ているときは意識してまばたきをしましょう。

6)どうして目の充血が起こるのですか。
 目の充血の原因は様々です。ドライアイ、結膜炎、アレルギー性結膜炎などが主な原因ですが、虹彩炎、ぶどう膜炎(目の奥の炎症)、緑内障など失明につながる病気の場合もありますので、放置せず眼科で診てもらってください。
2021年4月1日掲載 
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