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お子さんが弱視と言われたら

 お子さんが弱視と言われたら少なからず動揺されると思います。今回はそんなときにご参考にしていただきたい事項をまとめてみました。
1)弱視を知りましょう
 目で物を見るといいますが、目は視覚情報をキャッチする器官に過ぎず、本当に物を形として認識しているのは脳です。ヒトは脳が未熟な状態で生まれ、周りからの刺激を受けて脳細胞同士のシナプスが驚異的なスピードでネットワークを形成して脳が発達していきます。脳は機能ごとに発達する時期が異なっており、視覚分野では幼少期ほど視覚発達の感受性が高く、6−7歳を過ぎると感受性はかなり低下します。
 弱視とは、視覚発達の感受性が高い時期に適切な視覚情報が脳に届かず、脳が形を認識する能力(視力)を獲得できていない状態と言えます。
 弱視には、目の表面の角膜から脳に直結する視神経までのどこかに構造的な病的異常がある器質弱視と、病的異常はないがうまく機能できていない機能弱視とがあります。
 器質弱視は前眼部形成不全、未熟児網膜症、視神経低形成など先天的な異常であることが多く、その原因疾患の治療が優先されます。
 機能弱視には屈折異常弱視、不同視弱視、斜視弱視、形態覚遮断弱視、微小斜視弱視の5タイプがあります。一般的に眼科で弱視と言われたら機能弱視である場合がほとんどです。

2)弱視を治しましょう
 器質弱視の場合はそれぞれの疾患ごとに治療法が異なりますので、今回は機能弱視(以下弱視と略します)に絞って基本的な治療法を記載させていただきます。
 弱視における治療の最大の目的は、視覚発達感受性が高い時期に適切な情報を脳へ届けて視力の発達を促すことです。そのためにピントの合った映像を網膜に結像させることが必要です。形態覚遮断弱視は先天白内障など物理的に光が網膜まで届いていないことが原因ですので、その原因を取り除くことが最優先です。それ以外の弱視の場合、多少の違いはありますが屈折異常(遠視、乱視、高度近視など)を伴うことが多く、まずその屈折異常を矯正するための眼鏡を掛けることになります。
 眼鏡を掛けるだけで良くなる場合もありますが、左右の目で視力差が大きい場合には、良いほうの目をアイパッチで覆って、良くないほうの目で強制的に見させるトレーニング(遮蔽療法)を行ないます。一般的に遮蔽する時間は一日3−6時間程度となります。アイパッチをしているときは手元の細かい作業をするのがおすすめです。本を音読したり、塗り絵をしたり、場合によってはアイパッチをしている間は携帯ゲームやり放題という手もあります。ゲームはしっかり目で追って見ることが必要なゲーム(マリオカートなど)がおすすめです。
 アイパッチを3−6時間連続してできないときは、一回1時間を一日3回など分割してもかまいません。本人が嫌がったりお出かけの時などどうしてもアイパッチができない日もあると思います。目標が一日3時間の場合なら、1週間で21時間できればOKです。ただ眼科医から指示がない限り一日10時間を越えてアイパッチをするのは避けてください。
 上記の眼鏡とアイパッチが弱視における基本的な治療法となります。そのほか斜視弱視では手術をしたり、同時視トレーニングなどの視能訓練を行なうこともあります。


◎ 治療の主役はお子さんと保護者のかたです
 
 眼鏡もアイパッチもお子さんにとっては大変なストレスです。初めは眼鏡も嫌がってなかなか掛けてくれません。アイパッチも目を離すとすぐに取ってしまいます。そんななか、「眼鏡よく似合ってるよ!」とか「ママ(パパ)も一緒に眼鏡をかけよっ!」とか声掛けをしていただいたり、アイパッチにお子さんの好きなキャラクターのワッペンを貼ってあげたり、保護者のかたがお子さんと一緒にがんばっていただくのが何より大切です。私たち眼科医は1−2ヶ月に一度診させていただきますが治療のサポート役に過ぎません。

◎ 根気よく治療を続けましょう

 弱視の治療は一朝一夕にできるものではありません。眼鏡を掛けてアイパッチをしてもなかなか視力が良くならない時期もあります。それでも根気よく続けることが大切です。お子さんが眼鏡やアイパッチをするのはかわいそうだから強く強制したくないというお気持ちもわかります。しかし、お子さんが中学生や高校生になった時に遠近感がないためボール競技が苦手になったり、大人になっても視力が良くなく大型運転免許が取得できないなど困る場面があるかもしれません。弱視の治療はずっと続くわけではなく期間が決まっています。治療ができるのは今しかありません。

◎ ひとりで抱え込まないようにしましょう

 弱視の治療は長期にわたるため保護者のかたにもストレスが溜まります。ひとりで抱え込まず周りのかたにお願いしてサポートしてもらいましょう。おじいちゃんおばあちゃんに協力していただいたり、眼鏡を掛けている他のお子さんの保護者のかたと情報を交換したりするのもいいかもしれません。またご家庭でのアイパッチができないようでしたら、保育園や幼稚園の先生に相談してみましょう。最近では弱視治療に理解のある園が増えてきています。ご家庭だと甘えてできないお子さんも園だと頑張ってできたりします。


<最後に>
 弱視はなかなか理解しづらい疾患です。分からないことがあればどんどんお尋ねください。
(今回の内容は弱視治療に関する一般的な内容となっております。お子さんはお一人ずつ状態が異なりますので、主治医の先生のご指示をしっかりお守りください。)
2019年2月1日掲載 
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