「くろめのふちが白くなってきて、白内障が心配です。」と言って受診されるかたがみえます。それは「老人環」の可能性があります。老人環は目の角膜周辺部にできる輪状の白色または灰白色の混濁で、加齢によって生じることが多いため、この名前がつけられています。
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図:老人環
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1.疫学
老人環は主に60歳以上の人にしばしば見られ、加齢とともにその発生率が上がります。混濁は角膜上方や下方の角膜実質深層に始まり徐々に実質浅層に及びます。進行すると混濁が輪状に角膜全周に及ぶようになります。混濁は周辺部に留まるので視力への影響はほとんどありません。
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2.発生原因 加齢により角膜輪部血管網の透過性が亢進し、低比重のリポタンパクが角膜実質に沈着するため生じると考えられています |
3.予防方法 血液中のコレステロールが高いと発生頻度が高くなります。バランスのとれた食事を心がけ、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取を控えることが推奨されます。また適度な運動は血液中の脂質を減少させ、健康を維持するために大切です。 |
4.治療方法 老人環自体は視力に影響を及ぼさないことがほとんどですので、治療の対象とはなりません。しかし40歳以下で老人環を認める場合は、脂質代謝異常、動脈硬化症などの検査をお勧めしています。 |