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朝起きたら片目の下半分の視野が見えない!〜前部虚血性視神経症とは〜

 前部虚血性視神経症とは、視神経を栄養する血管が虚血を起こし、視力・視野障害を引き起こす疾患です。大きく非動脈炎型と動脈炎型に分けられます。
1)非動脈炎性前部虚血性視神経症
 非動脈炎性前部虚血性視神経症は、40歳以上、急性、無痛性、片眼性の視力低下、水平半盲(下半分が見えなくなることが多い)を特徴とします(図1-1)。朝起床時に気付くことが多く、その他の神経症状はほとんどありません。
非動脈炎性前部虚血性視神経症の左右視野
【図1-1】右眼視野 【図1-2】左眼視野
図1:70代男性、数日前から右眼下方視野がぼやけて見えるため来院、視野検査では右眼下方水平半盲を認める。左眼視野はほぼ正常。
 視力低下の程度は手動弁から1.0まで様々ですが、視野に異常があることが大半で、患眼の瞳孔の対光反応が減弱します。眼底所見では視神経乳頭のびまん性もしくは分節状浮腫を生じます(図2-1)。治療を行ってもその後の視力回復はほとんど期待できず、5年以内に他眼が同症を発症する可能性は20%と言われています(図2-2)。
非動脈炎性前部虚血性視神経症 左右の眼底写真
【図2-1】右眼眼底写真 【図2-2】左眼眼底写真
図2:眼底所見では右眼視神経乳頭のびまん性浮腫を認める。左眼は視神経乳頭がやや小さめで視神経乳頭陥凹がほとんど見られない。
写真をクリックすると別ウインドウで拡大写真が表示されます。
2)動脈炎性前部虚血性視神経症
 非動脈炎性では動脈の低灌流が原因であるのに対し、動脈炎性前部虚血性視神経症は血管炎によって生じる動脈の血管閉塞そのものが原因となります。日本人にはまれな疾患ですが、すぐに治療を開始しないと数日以内に他眼も発症し重篤な視力障害をもたらす可能性が高く注意が必要です。背景疾患には巨細胞性動脈炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病があります。
 動脈炎性前部虚血性視神経症は、高齢(75歳以上が多い)の女性に多く、症状は非動脈炎性に比べて重篤で両眼に同時発症する場合もあり、視力が0.1以下となる場合が過半数を占めます。視野障害は水平半盲だけでなく、中心暗点などいろいろな場合があります。全身症状として、発熱、体重減少、関節痛、頭痛などを伴うことがあります。
 眼底所見には蒼白腫脹した視神経乳頭を認め、視神経周囲の網膜に火炎状出血を認めることもあります。片眼性の場合は対光反応の減弱を認めます。
 治療はステロイド薬の点滴が適応で、速やかな治療により他眼の発症を予防することが大切です。
参考文献
中馬秀樹. 非動脈炎性虚血性視神経症. 眼科診療クオリファイ7.72-78.2011.
田口 朗. 動脈炎性虚血性視神経症. 眼科診療クオリファイ7.82-86.2011.
2021年6月1日掲載 
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