1. 近視とは
近視は屈折異常の一種です。わたしたちの目は近くを見るとき、カメラのレンズにあたる水晶体を厚くしてピント合わせをします。
この働きを目の調節といいますが、近視の人は目が調節をしない状態で遠くを見たとき、網膜の手前でピントが合ってしまうのでぼやけて見えます。
2. 近視の予防
まず正しい姿勢で勉強や読書をするよう心掛けてください。背中をまっすぐにして少し頭を前にかたむけた姿勢で、目と本の間を30センチくらい離しましょう。目の疲労を防ぐために、
30分間机に向かったら10分程度は目を休ませましょう。コンピューターやゲームなども30分やったら10分以上休むようにしましょう。
照明は明るすぎたり暗すぎたりしないよう、机に向かうときは部屋の明かりといっしょに、スタンドを使用しましょう。
3. メガネの必要性
近視は近いところは見えますから、日常生活に不自由がないなら、すぐにメガネをかけなくてもかまいません。ただし、黒板の字が見にくいと勉強にさしつかえるので、
少なくとも小学校低学年では視力0.5以下、高学年以上では視力0.7以下になったらメガネを用意したほうがよいでしょう。
近視が軽ければ、近くを見るときは外し、遠くを見るときだけメガネをかければよいでしょう。近視が進んでくると近くを見るときにも見づらくなりますので、メガネをかけたほうが楽に見えるようであれば近くを見るときにもメガネをかけるようにしましょう。
メガネをかけたり外したりしても近視の度が進むようなことはありません。
4. 調節緊張
読書やコンピューター、テレビゲームなどの近くを見る作業を長時間続けていると、眼内の毛様体という筋肉が常に緊張して、近くにピントを合わせる状態を作りつづけることになります。この状態が続くと、一時的に屈折力が強くなり、近視に類似した状態になります。これは昔でいう「仮性近視」の状態ですが、現在では「調節緊張(調節痙攣)」と呼ばれています。
5. 調節緊張の治療
(1)点眼薬
製品名は「ミドリンM」といいます。その成分は「トロピカミド」で、眼底を検査するときに瞳孔を開くために使うものですが、毛様体の筋肉に働いて、その機能を抑制します。これを使うと瞳孔が開いてしまうので、光が眩しく、近くが見えづらくなります。そのため夜寝る前にご使用いただきます。4時間ほどで元に戻るので、朝には普通に見えます。近くを見続けることで起こる「調節緊張」を解くことで、本来の調節機能を取り戻そうとするためのものです。
(2)器械によるトレーニング
当院ではワック社製両眼視簡易検査器D5000を用いて調節緊張の治療をしています。器械の中を覗くと美しい立体風景が見え、遠くの景色を長時間見つめるのと同じ効果があります。また、視標を見つめる際に両眼ともまっすぐ前方を見ますので、パソコンや読書などの近業により内側に寄せられた視線を回復させる効果があります。
6. ご家庭でもできる調節緊張のトレーニング
(1)
カレンダーのひとつの数字を見つめ、少しずつ離れていき、輪郭がぼやけ始める距離をつかむ
(2)
その位置から、数字がはっきり見えるようになるまで見つめる
(3)
5秒ほど目を閉じてリセット
(4)
5分ほど続ける
(5)
(1)〜(4)までを1日3セット行う
見る対象や字の大きさなどに特に決まりはありません。大切なのは、自分にとってぼやけ始める距離をつかむことです。むやみに遠くを見てもトレーニングの効果は期待できませんので、ご注意ください。
2007年4月1日掲載
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