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サルコイドーシスによる眼の症状

1)サルコイドーシスとは
 おもに類上皮細胞やリンパ球などの集合でできた「 肉芽腫 」という 結節 が、リンパ節、目、肺、心臓などの、全身のさまざまな臓器にできてくる病気です。厚生労働省の特定疾患に指定されており、重症度lll、lVの場合には、医療費補助を受けることができます。眼科的にはぶどう膜炎(目の中の炎症)の原因の約10%を占めており、原因疾患の第一位となっています。

2)サルコイドーシスの症状
 サルコイドーシスは全身性多臓器性疾患であり,複数の臓器に病変が及ぶ可能性があります。障害される部位で多いのは、リンパ節と肺と眼と皮膚で、それ以外に、心臓、神経・筋肉、骨、関節などがあります。
 眼の症状としては、かすみ、まぶしさ、充血、飛蚊症などが多く、重症の場合は視力低下を来たします。特徴的な所見として、豚脂様角膜後面沈着物【写真1】,虹彩結節、隅角結節、雪玉状硝子体混濁(snow ball opacity)、網膜血管の炎症(網膜静脈炎)などがあります。長い間炎症が続くと網膜の中心部(黄斑)が腫れて網膜が障害されたり、緑内障や白内障などを合併して視力が著しく低下することがあります。
 全身の症状では咳や息切れ、皮膚の結節、不整脈などの症状がみられることがあります。

【写真1】豚脂様角膜後面沈着物(角膜の裏側に白い塊が複数沈着している)


3)サルコイドーシスの原因
 サルコイドーシスの原因は判明していません。結核菌説、溶連菌説、ウイルス説などたくさんの説があります。なんらかの原因でリンパ球やマクロファージ細胞が刺激され肉芽腫病変が生じるとされています。

4)サルコイドーシスの検査・治療
 眼科だけでサルコイドーシスの診断を行うことはできません。眼科でぶどう膜炎と診断されたら、総合病院の内科や皮膚科などを受診していただき、血液検査や画像検査などの全身検査をおこないます。
 教科書的にはぶどう膜炎に加えて、両側肺門リンパ節腫脹(BHL)、血清アンジオテンシン変換酵素値(ACE)上昇、ツベルクリン反応陰性(陰転化)、皮膚の結節性病変があればサルコイドーシスの可能性が濃厚です。
 確定診断のためには病巣の組織の中に類上皮細胞肉芽腫を見つけることが必要です。呼吸器内科での気管支鏡による肺の生検や皮膚科での皮膚生検をお願いすることになります。
 眼科的治療の基本はステロイド薬と散瞳薬の点眼治療ですが、炎症が強い場合は眼の注射やステロイド薬内服をおこなう場合もあります。サルコイドーシスは比較的予後の良い疾患ですが、定期的に検診を受けていただき、炎症再燃予防と白内障・緑内障などの合併症予防をしていただけるとよいと思います。

参考サイト

難病情報センター/サルコイドーシス(指定難病84)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/110
日本眼科学会/ぶどう膜炎診療ガイドライン
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/
uveitis_guideline.pdf


2023年9月1日掲載  
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