2004年10月23日、愛知県医師会館9階大講堂において「眼疾患と検査のコツ」と題した第13回愛知県眼科医会眼科スタッフ研修会が催されました。その講師を眼科やがさき医院の矢ヶ崎悌二先生とともに担当させていただきました。矢ヶ崎先生は「乳幼児について」講演され、私は「高齢者について」で、約1時間の講演をさせていただきました。
現在、日本の人口の約19%が65歳以上の高齢者となっており、間もなく5人に1人が高齢者という時代になります。眼科は以前から高齢者の患者さんが多い科でしたが、今後ますますその割合が増加すると考えられます。骨粗しょう症や難聴など高齢者に特有な状況に加えて、眼科の高齢な患者さんは眼も見えにくくなっています。眼科に働くスタッフはそのような状況を踏まえて検査や介助に従事する必要があると考えられます。
今回の講演では、高齢者の見え方のシュミレーションを提示し、高齢者の視機能に関して眼科スタッフの理解を促すとともに、緑内障、白内障、加齢黄斑変性症など高齢者に頻度が高い眼疾患について解説しました。
また、高齢者では転倒の危険性が高く、転倒すると大腿骨骨折などから寝たきりになってしまうこともあります。眼科の患者さんはもともと見にくいうえに、暗室があったり散瞳してぼやけてしまったりで、眼科の外来というのは高齢者にとって転倒のリスクが高いところだと思います。講演では転倒予防心得として以下の3点を挙げさせていただきました。
散瞳後や暗室で高齢の患者さんが移動する際には、出来る限り介助をしましょう。
バリアフリーを基本としますが、段差のあるところは明るくするとともに、コントラストをつけてよくわかるようにしましょう。
患者さんの動線上にコードが出ないようにしましょう。
高齢者では視機能も含めて身体機能全体の個人差が大きくなっています。そのため検査にしても一律的なマニュアルは適応しづらく、個人個人に応じた対応方法が必要になってきます。高齢者の一般的な特性を踏まえて、その方の立場に立った素敵な対応ができるといいですね。
2005年1月7日掲載